家づくりコラム
2021.01.28
全館空調って何?電気代は?初期費用は?メリットとデメリットをお教えします
社長の松尾です。今回は自宅を新築する際に実験的に導入した「全館空調」についてお話します。お客さまに自信を持っておすすめできるのか?使用して5年、実際に肌で感じたことを正直にお話します。
自分の家で実証実験をすることにしました
私は今まで数多くのお客様の家づくりに
一級建築士として工務店経営者として携わってきました。
我が家も5年前の2019年12月に完成しました。
自分の家を建てる時には
「自分の家でしか出来ない事をやってみよう」つまり
「お客様の家では出来ない事をやろう」とずっと考えていました。
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お客様の家で出来ない事。
それは、「実証実験」です。
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すごく気になっていて、評判はいいけど実際に使って
もし、「NG」だったら・・・そんなリスクをお客様には勧められない。
自分で試して本当に良かったら自信を持って勧められる。
本物なら是非採用したい。
そう思っていた設備や仕様はいくつかありました。
その中でも全館空調CCFはコストも大きいので特に試してみたかったものでした。
今回は設置して5年間使ってみて肌で感じた体験内容をお伝えします。
全館空調って何?
簡単に説明するなら、1台のツインエアコンです。
エアコンなので冬は暖房、夏は冷房として使用出来ます。
1台の室外機に対して1階と2階に各1台づつ室内機が設置されます。
1階は床面に室内機を設置して床下空間全体を暖める為、
床全体が暖められ床暖房のような心地良い空間になります。
2階は天井裏(小屋裏)に室内機を設置し数本のダクトにより
各居室、階段室、廊下、トイレ等に送られ快適な空間を確保してくれます。
暖かさ、涼しさは?
床下空間全体も高断熱化していれば暖まる速度も速く
電源を落とした後も長時間に渡り快適空間をキープしてくれます。
家中どこにいても温度差がほとんど無く、室内環境は安定している為
真冬のリビングでも玄関、廊下、洗面所でも快適に過ごすことができます。
夏も同じように、家中どこにいても涼しい環境の為とても過ごしやすいのですが
特に夏のトイレの快適さは格別、私のお気に入りの1つです。
このように家中の気温が安定していると
夏も冬もヒートショックから体を守ってくれるといえるでしょう。
1年中、家じゅう、22~23℃にキープ
我家では寒い冬の間も家の中では半袖です。
理由は2つ
1.室温が22~23℃前後にキープされていること。
2.全館空調の場合は特に家中どこにいても気温差がないこと。
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全館空調って24時間ずっと使い続ける必要があると思ってませんか?
勿論、24時間365日ずっと使い続けても良いのでしょうが、
私の体験からすればその必要はないと思っています。
「CCFと高気密高断熱の組み合わせに限って」という前提で、
実際に我家で、どのくらいの時間帯(予約タイマー)に使用しているかお話します。
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一番寒い時期(1月~2月)の場合
【1階】全館空調を可動させている時間
朝5時~7時(2時間)
18時~22時(4時間)
早朝は電気代が1/3(深夜料金)なのでとてもありがたいです。
朝7時に切れてからも暖かさは長時間キープされてます。
夕方になり室温が少しづつ下がり
Tシャツ1枚では「ちょっと寒いかなぁ」と感じはじめる気温は、20℃ぐらいです。
再びタイマーがON(18時~21時)となります。
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【2階】全館空調を可動させている時間
22時~1時(3時間)
就寝が11時頃なので予約タイマーを22時~1時にタイマーセットしています。
朝起きる時までずっと暖かいので
「寒くて布団から出たくない」なんて思ったことは
5年間で1度もありません。
暖かいからこそ、パジャマも布団も夏用のものだけで充分です。
もちろん毛布なども必要ないので
1年中マットレス+シーツと夏用の掛け布団だけを使用しています。
余分な話かもしれませんが、
家族全員の冬用の布団1式の収納スペースが要らないし
「洗う必要もなければ買う必要もない」ということ。
これはなかなかのものですよ。
省エネランク「ウルトラC」そんな感じ!! でしょうか。
月々の電気代はいくら?
今年の夏に全館空調を1ヶ月間24時間フル稼働で
電気代は「いくらぐらい掛かるのか」
について実験してみました。
因みに35坪ぐらいまでは全館空調は1セットですが、
2世帯住宅など広いサイズの家では2セット必要になります。
今回は50坪の家で2セットをフル稼働してみました。
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全館空調の電気料金は概ね1.5万円/月程でした。(オール電化です)
35坪までの1セットならこの半分ぐらい?ではないでしょうか。
それでも決して安くはありません。
だからこそ、私は時間帯を決めてタイマーセットしています。電気料金を節約しています。
時間帯が短ければ電気代も節約できるのは言うまでもありません。
全館空調の欠点デメリット
●電気料金は安くありません。
しかし、高気密高断熱の家の特性を生かし
時間帯を上手に区切って使用出来れば、
電気代を節約しながら快適な生活を維持できるということもわかりました。
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●乾燥します。
高気密高断熱の家の中は乾燥しがちです。
全館空調に限らず暖房を使用すれば更に乾燥していきます。
その為、寝室では加湿器が必須となります。
寝ている間、喉の感想には注意してください。
最近は花粉症対策で洗濯物の室内干しをされる方が増えています。
物干しが出来るランドリースペースを希望されるご家族も増えてきました。
我が家も同じで、基本室内干しをしています。
この場合は乾燥をうまく利用できるので洗濯物の乾きはとても早いです。
同時に室内の加湿にもつながるという点はちょっと嬉しいかも。
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●初期費用(設置費)が高いです。
全館空調の価格は決して安くはありません。
ただし、「各部屋全室にエアコンは設置したい」
「LDKには床暖房がほしい」となれば
そう大きな金額差にはなりません。
通常のエアコンと違い各部屋だけでなく、
玄関、廊下、洗面、WCまで
家中すべてをカバーしてくれるので
暮らしやすさをトータルで考えれば
その価値は十分にあるのではないでしょうか。(私の個人的感想です)
最後に、最近はいつも以上に家で過ごす時間が増えていると思います。
家族の団らんを楽しむ為には
寒さ暑さ知らずの快適さは
本当にありがたいものです。